薪能、堪能〜!

2003年7月27日
今日、近畿地方で梅雨明け宣言。

曇り空から陽が差すとじりじり暑いが、風はサラッとしていて気持ち良かった。

ゆっくり起きて掃除をして、溜まっていたビデオを見る。

それからのんびりと支度をして、夜は1人で薪能を見に行った。

私は熱烈な能のファンという訳ではないけれど、能や狂言を見るのは好きだ。それが薪能となれば楽しみも倍増!

電車で1時間、さらにバスで10分ほどのところに「富松(とまつ)神社」がある。ここの境内に質素だがとても美しい能舞台がしつらえてあった。「富松薪能」は今年で24回目を数える。

今日の番組は、

狂言・「棒縛」(ぼうしばり)
仕舞・「放下僧」「雨之段」「鉄輪」
能・・「井筒」

まだ明るい空に蝉の声が響き渡る6時半開演、境内はたくさんの人で埋め尽くされた。

正面ではないものの運良く最前列に陣取った私、まずは狂言で楽しく笑わせて頂いた。

いつもながら、役者の朗々と響き渡る声に感心してしまう。日本語ってこんなにきれいだったんだ・・・。

「棒縛」、今まで見た狂言の中で1番好きかも。ストーリーは、自分の留守中に酒を盗み飲みされぬように、主人が使用人2人をまんまと騙して1人は後ろ手に、1人は棒を担いだ格好で縛ってしまう。
ところが2人は、不自由な手で倉を開け酒盛りを始める。息の合った掛け合いと、コミカルな動作に会場は大盛り上がり。

そして次の仕舞が始まる前に、火入れ式。

辺りはいよいよ暗闇が迫ってきた。薪の燃える音や煙の匂いが、子供の頃遊んだ田舎を思い出させた。あぁ、落ち着くなぁ・・。

そして能「井筒」は、伊勢物語を素材にした在原業平とその妻の物語。

能・・・室町時代から700年間も続く、日本の伝統芸能。
能舞台に鼓と笛の音が流れると、一気に異空間に変貌してしまう。

「井筒」とは井戸のこと。在原寺に立ち寄った僧の夢に、在原業平の形見を身に着けたその妻が現れ、井戸の水に自分の姿を写して在りし日の夫を偲ぶ。

私は能の専門知識は皆無といって良いほどだ。
でも、能を見ていてこんなにも惹きつけられるのは、能がいやおう無く五感を刺激するからじゃないかな?

特に薪能のように外でやると、風の音・木の燃える匂い・蝉が飛んできたり外の道をバイクが走ったり、その全てが演出のように思えてくる。地揺と役者の声がそれらと絡み、まとまって天に昇ってゆく。

考えてみれば、今日の薪能は富松神社に鎮座まします神々様に奉納させて頂くためのもの。

私達はそれを一緒に見させて頂いたわけで、ありがたいことです。

2時間半があっという間に過ぎ、薪もすっかり炭になった。

また長い道のりをてくてく家まで帰ったけど、何だか元気を頂いたみたいでちっとも疲れなかった。

また来年も行きたいな!


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