もう泣かないで
2004年3月27日この1週間、相棒はものすごーく暗かった。
カラオケで泣きながら話をして、「君と距離を置いて自分を見つめたい」と彼が言ったのが先週の土曜日だ。
あれから毎日、「おはよう」「ただいま」などの挨拶意外はほとんど会話らしきものが無かった。
それはまだ良いとして、とにかく相棒が暗かったのよ。
明らかに煮詰まっている様子・・・でも、迂闊に声を掛けられない。煮詰まりの張本人なんだし。
で昨日、天気予報が「週末は行楽日和」と太鼓判を押すのを聞いて、私は密かに2人でどこかにお出かけしようと思っていた。暖かい太陽の下に出て、気分を変えたくて。
そしたら今朝・・・
「ちょっと仕事に行って来る」とあっさり言われてしまったわ。がっくし。「帰りは早いの?晩ご飯はどこかに食べに行こうか?」と誘ってみても、「早く終わったらね。」とこれまた暗〜い顔で言われ、そのまま出かけて行った。
うむむむぅ。
こんなんで良いのだろうか。 良くはないだろう。
少なくとも私にとっては、精神衛生上まことに宜しくないっ!!
と言うわけで
すぐに友達に電話をかけた。ラッキーなことに彼女もヒマだったらしく、午後から会うことにした。
2人で冗談を言い合いながらブラブラ歩いて、古着屋を物色したり雑貨屋をひやかしたりしているうちに、私の心の暗雲はスーッと消えてゆく・・・。
もう長い付き合いになるこの親友とは、物事の捉え方が良く似ていて一緒にいても完璧にストレスフリー。感性が同じだから全てを話さなくても「あ・うん」で判ってくれるのよね。
彼女は相棒のことも知っているから、よくグチも聞いてもらっていた。
「どうなん?最近・・・」
「それがさぁ〜、毎日すっごく暗いんだよ彼。」
歩き疲れて入ったモ○バーガーで、パンパンに溜まっていた心のガス抜きを始める私。
友達は、うんうんと聞いてくれる。
私が彼女の意見を聞きたいと思って口を閉じれば、すぐに察してはっきり意見を言ってくれる。
そんな時の彼女は、すごく自然体だ。
「悩んでる人の話を聞いて、その人の助けになりたい」という気負いのようなものが、微塵も感じられないの。
本当はきっと、心の中ではそう思ってくれているはずだ。でも彼女のたたずまいに、「辛いね、でも大丈夫。応援してるよ」という雰囲気は無い。何と言うか・・・私の今をありのままに受け止めて聞いているだけ。まるでスポンジが水を吸うように、スーッと受け入れてくれるのが心地よくて、ものすごく安らぐのだ。
不思議な個性を持つ人だ。
そんな彼女には、ちょっと付き合ったくらいでは決して見えない強烈なコンプレックスがある。ドロドロした、影の部分がある。
でも、それも全部自分なのだと受け入れている。見たくない自分とも正面から向かい合っている。
そんな彼女から、「ティダさんは大きな意味で大丈夫だと思う。」とひとこと言われると、何だかもう全てオッケーという気持ちになってくるのだ。何の根拠も無い自信が湧いてくるのだ。
そんな風にしてお互いの話に夢中になっていると、外はもうすっかり日が暮れていた。
古着屋さんでお揃いの服(←良いと思うものが同じだから!)を買って、晩ご飯をお互いの家で食べるために別れた。いつものように「ありがとう」を言い合いながら手を振る。
本当に、いつもありがとうね!!
私が家に帰ってから30分ほど後に、相棒も仕事から戻ってきた。
「おかえり。ご飯食べる?」
「・・・お茶漬け程度でいいよ・・・。」
暗い。 ブラックホールかと思うほどだ。
やっぱりこのまま眠りたくないと思った私は、そっと声を掛けてみた。
「良かったら・・・少し話さない?」
それから1時間ほど、私達は今の気持ちを話し、聞いた。
案の定、相棒は毎日ずっと出口の無い迷路をあても無く歩くように考え続け、疲れきっていた。私との結婚生活にピリオドを打ち、新しい家庭を築く夢を捨てきれない。でも自分の夢だけのために、長年連れ添った私を見捨てるようなこともできない。
そもそも、相棒が「一生君を愛し続ける」と言う気持ちを見失ってしまった決定的な原因は、私が去年の12月に彼に言った「あなたの子供は欲しくない」というひと言だ。
ここに至るまでの経緯は筆舌に尽くし難いほど複雑で、私の文才も忍耐力も全く足りないので省くけれど、やはりこの台詞はどう考えてもきつすぎる言葉だった。
ただ一方で、子供の頃から何でも我慢して妥協することでその場限りの調和を装ってきた相棒の悪癖が、結婚生活に大きな溝を作ったのも事実だ。もちろん、それに気付いてきちんと対処できなかった私も同罪。
とにかく、私達は一度もお互いを責めていない。むしろ自分の欠点を侘び相手の幸せを優先させようとしている。
それが2重の苦しみでもある。
私は彼に、もうこれ以上自分を誤魔化して生きて欲しくはない。
それが自分のせいなら尚更だ。(彼は決してそう言わないけど)
相棒は別れた後の私の生活を心配している。そりゃまあ、経済的な余裕は無いだろう。国民年金なんか払っちゃいられないかも、だ。
できる限り助けると言ってくれる相棒。もちろん嬉しいけど、私はこれからもずっと友達でいてくれればそれでいい。
私にとって一番大切なのは、苦しい時の心の支えがどれだけあるかと言うことなの。精神的に強くありさえすれば、体が元気でありさえすれば、金なんか何とでもなる。これ、かあちゃんの血筋なのね。
話の最後に、私は自分の気持ちを素直に言った。
「あなたは、自分のしたいことを一度はちゃんとするべきだよ。それでもし私とやり直したいと思ったら、戻ってきてくれればいいんだよ。」
相棒は、「そんな都合のいいことできない」と言ったけど、私はほんとにそれでいいんだ。だってもう、私が相棒にしてあげられることは他に無さそうなんだもん。それに、人の縁は自分の力ではどうしようもない部分で動いていくものだ。
1年後、どう変わっているかなんて判らないし考えたくもない。
今の自分で、精一杯できることを見つめていたい。
カラオケで泣きながら話をして、「君と距離を置いて自分を見つめたい」と彼が言ったのが先週の土曜日だ。
あれから毎日、「おはよう」「ただいま」などの挨拶意外はほとんど会話らしきものが無かった。
それはまだ良いとして、とにかく相棒が暗かったのよ。
明らかに煮詰まっている様子・・・でも、迂闊に声を掛けられない。煮詰まりの張本人なんだし。
で昨日、天気予報が「週末は行楽日和」と太鼓判を押すのを聞いて、私は密かに2人でどこかにお出かけしようと思っていた。暖かい太陽の下に出て、気分を変えたくて。
そしたら今朝・・・
「ちょっと仕事に行って来る」とあっさり言われてしまったわ。がっくし。「帰りは早いの?晩ご飯はどこかに食べに行こうか?」と誘ってみても、「早く終わったらね。」とこれまた暗〜い顔で言われ、そのまま出かけて行った。
うむむむぅ。
こんなんで良いのだろうか。 良くはないだろう。
少なくとも私にとっては、精神衛生上まことに宜しくないっ!!
と言うわけで
すぐに友達に電話をかけた。ラッキーなことに彼女もヒマだったらしく、午後から会うことにした。
2人で冗談を言い合いながらブラブラ歩いて、古着屋を物色したり雑貨屋をひやかしたりしているうちに、私の心の暗雲はスーッと消えてゆく・・・。
もう長い付き合いになるこの親友とは、物事の捉え方が良く似ていて一緒にいても完璧にストレスフリー。感性が同じだから全てを話さなくても「あ・うん」で判ってくれるのよね。
彼女は相棒のことも知っているから、よくグチも聞いてもらっていた。
「どうなん?最近・・・」
「それがさぁ〜、毎日すっごく暗いんだよ彼。」
歩き疲れて入ったモ○バーガーで、パンパンに溜まっていた心のガス抜きを始める私。
友達は、うんうんと聞いてくれる。
私が彼女の意見を聞きたいと思って口を閉じれば、すぐに察してはっきり意見を言ってくれる。
そんな時の彼女は、すごく自然体だ。
「悩んでる人の話を聞いて、その人の助けになりたい」という気負いのようなものが、微塵も感じられないの。
本当はきっと、心の中ではそう思ってくれているはずだ。でも彼女のたたずまいに、「辛いね、でも大丈夫。応援してるよ」という雰囲気は無い。何と言うか・・・私の今をありのままに受け止めて聞いているだけ。まるでスポンジが水を吸うように、スーッと受け入れてくれるのが心地よくて、ものすごく安らぐのだ。
不思議な個性を持つ人だ。
そんな彼女には、ちょっと付き合ったくらいでは決して見えない強烈なコンプレックスがある。ドロドロした、影の部分がある。
でも、それも全部自分なのだと受け入れている。見たくない自分とも正面から向かい合っている。
そんな彼女から、「ティダさんは大きな意味で大丈夫だと思う。」とひとこと言われると、何だかもう全てオッケーという気持ちになってくるのだ。何の根拠も無い自信が湧いてくるのだ。
そんな風にしてお互いの話に夢中になっていると、外はもうすっかり日が暮れていた。
古着屋さんでお揃いの服(←良いと思うものが同じだから!)を買って、晩ご飯をお互いの家で食べるために別れた。いつものように「ありがとう」を言い合いながら手を振る。
本当に、いつもありがとうね!!
私が家に帰ってから30分ほど後に、相棒も仕事から戻ってきた。
「おかえり。ご飯食べる?」
「・・・お茶漬け程度でいいよ・・・。」
暗い。 ブラックホールかと思うほどだ。
やっぱりこのまま眠りたくないと思った私は、そっと声を掛けてみた。
「良かったら・・・少し話さない?」
それから1時間ほど、私達は今の気持ちを話し、聞いた。
案の定、相棒は毎日ずっと出口の無い迷路をあても無く歩くように考え続け、疲れきっていた。私との結婚生活にピリオドを打ち、新しい家庭を築く夢を捨てきれない。でも自分の夢だけのために、長年連れ添った私を見捨てるようなこともできない。
そもそも、相棒が「一生君を愛し続ける」と言う気持ちを見失ってしまった決定的な原因は、私が去年の12月に彼に言った「あなたの子供は欲しくない」というひと言だ。
ここに至るまでの経緯は筆舌に尽くし難いほど複雑で、私の文才も忍耐力も全く足りないので省くけれど、やはりこの台詞はどう考えてもきつすぎる言葉だった。
ただ一方で、子供の頃から何でも我慢して妥協することでその場限りの調和を装ってきた相棒の悪癖が、結婚生活に大きな溝を作ったのも事実だ。もちろん、それに気付いてきちんと対処できなかった私も同罪。
とにかく、私達は一度もお互いを責めていない。むしろ自分の欠点を侘び相手の幸せを優先させようとしている。
それが2重の苦しみでもある。
私は彼に、もうこれ以上自分を誤魔化して生きて欲しくはない。
それが自分のせいなら尚更だ。(彼は決してそう言わないけど)
相棒は別れた後の私の生活を心配している。そりゃまあ、経済的な余裕は無いだろう。国民年金なんか払っちゃいられないかも、だ。
できる限り助けると言ってくれる相棒。もちろん嬉しいけど、私はこれからもずっと友達でいてくれればそれでいい。
私にとって一番大切なのは、苦しい時の心の支えがどれだけあるかと言うことなの。精神的に強くありさえすれば、体が元気でありさえすれば、金なんか何とでもなる。これ、かあちゃんの血筋なのね。
話の最後に、私は自分の気持ちを素直に言った。
「あなたは、自分のしたいことを一度はちゃんとするべきだよ。それでもし私とやり直したいと思ったら、戻ってきてくれればいいんだよ。」
相棒は、「そんな都合のいいことできない」と言ったけど、私はほんとにそれでいいんだ。だってもう、私が相棒にしてあげられることは他に無さそうなんだもん。それに、人の縁は自分の力ではどうしようもない部分で動いていくものだ。
1年後、どう変わっているかなんて判らないし考えたくもない。
今の自分で、精一杯できることを見つめていたい。
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